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【恐怖の絵本作家?】展覧会『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』に行ってきました

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世界中に熱狂的なファンがいると言われる、ゴーリーの作品。

私はYouTubeがきっかけで、ゴーリーの絵本を知り、それからとても気になる存在になりました。

「なんだか、こわい。でも何故だか、すごく魅力的」それが、私のゴーリーの絵本を知ったときの感想です。

さて、展覧会『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』に行ってきました。

この記事では、

  • ゴーリー
  • ゴーリーの絵本
  • 『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展

について、書いていきます。

エドワード・ゴーリーって?どんな人?どんな作品を生み出したの?

猫とバレエが大好きな多彩な作家

エドワード・ゴーリー(1925~2000)は、アメリカのシカゴ生まれ。

モノクロの緻密な線描画が印象的な作品をいくつも残しています。

作品は多岐にわたり、

  • イラスト
  • 絵本
  • 劇場の舞台美術

など。

バレエを愛し、そして無類の猫好きだったそうです。

展覧会にゴーリーの肖像写真があったのですが(60代くらいの写真?すごくカッコイイおじいちゃんでした)、ゴーリーは猫と共に写っていました。

ゴーリーの絵本

\ペンギン・・・?/

日本で出版されているゴーリーの絵本のなかでも有名な次の4点。

  1. 不幸な子供
  2. うろんな客
  3. ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで
  4. おぞましい二人

(上記4作、河出書房新社。柴田元幸訳。)

タイトルからして、ただならぬ気配がしますね。

不穏なワードがチラホラ・・・。

ゴーリーの絵本の世界では、あっけなく子どもが残酷な目にあったり、残虐な表現があります。「死んだ」り、「殺した」り…。

でも、「死」を軽薄に扱った奇怪な作品というわけではありません。

「死」を描くのは、何かを伝えるための”手段”であって、”目的”ではなさそうです。

ここで、「そっか!ゴーリーの絵本は”大人向け”なのか」と私は決めてかかってたのですが。

ゴーリーによれば、一部の絵本は子ども向けに描いたとのことです。

しかし、実際のところ、私は例えば上記の絵本たちを小さい子に読み聞かせするのをためらってしまいます。(特に①・③・④)

②の『うろんな客』に関しては残虐性はないものの、小さい子が見たらコワイのかな…?それとも面白がるのか…?ちょっと気になるところです。

ここで『うろんな客』について、ちょっとご紹介したいと思います。

内容は、うろん(怪しくて疑わしいの意)な客がある一家のもとにある日突然あらわれて、迷惑千万な行為を繰り返し、気づけばそれは………といったものです。

ペンギンのようにも見える「うろんな客」が不可思議で印象的ですが、訳文がこれまた素敵。

声に出して読んでみたくなってしまう短歌調です。

ふと見れば 壺の上にぞ 何か立つ 珍奇な姿に一家仰天

中略

ともすれば 訳のわからぬ むかっ腹 風呂のタオルを 一切隠蔽

『うろんな客』(エドワード・ゴーリー、柴田元幸 訳、河出書房新社)

 

「うろんな客」は不気味で怖いんですが、ユーモラスで可愛く見えるシーンもあります。

私は特に、勝手に腹を立てて、家のバスタオルを全てかっさらって隠してしまうシーンが好きです。

絵本の訳者によるあとがきでは、「うろんな客」の正体について、なるほどなぁ…とうなってしまう一つの読みときが紹介されてます。(ここではふせておきますね)

その読解が正解かは分かりませんが、正解だと仮定して読むと「こんな風にその存在を表現するなんて天才だな!」と思ってしまいました。

 

\壺の上に立つシーンは展覧会でパネルとして登場/

『うろんな客』以外の

  • 不幸な子供
  • ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで
  • おぞましい二人

 

これら3作品の内容については次の動画(中田敦彦のYouTube大学)で紹介されてますので、気になる方はどうぞ。

 

 

ゴーリーは、人を不穏な気持ちにさせる天才?

私がゴーリーの絵本をいくつか読んで感じたのは、

  • 静かに漂う底知れない恐怖感
  • 寡黙なのに、すごく訴えかけてくるものがあり、読後になんかゾワゾワした気持ちになる

でした。

どういうわけか、人生におけるわたしの使命は人をできるだけ不安にさせることなんですよ。人はみんなできるだけ不安になるべきだと思うんです。世界というのは不安なものだから。

エドワード・ゴーリー

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』(カレル・ウィルキンほか 著・柴田元幸、小山太一 訳)

ゴーリーの言葉を見て、納得です。

使命感をもって、人を不安にさせにかかってる!

そして見事まんまと不安になっている自分がいました。(やられたなぁ…)

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展

展覧会では、原画を中心に資料や書籍などが約350点が紹介されていました。

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展は、兵庫県の伊丹市立美術館から始まって日本各地を巡っていたようです。(私は練馬区立美術館で開催されたものに行ってきました)

  • 2016年4月2日〜5月15日 伊丹市立美術館 
  • 2016年7月16日〜8月28日 福島県立美術館 
  • 2016年9月8日〜10月23日 下関市立美術館 
  • 2017年4月15日~6月4日  四日市市立博物館 
  • 2017年10月8日~11月26日 宇都宮美術館 
  • 2017年12月2日~2018年2月5日 島根県立石見美術館 
  • 2018年2月17日~3月25日 福井市美術館 
  • 2018年7月13日~9月2日 八王子市夢美術館 
  • 2019年1月19日~3月10日 新潟市新津美術館 
  • 2019年9月29日~11月24日 練馬区立美術館

 

ゴーリー展覧会はどうだった?

  1. 展示物にしっかり解説があるので、ゴーリー初心者でも安心
  2. 日本で未出版のゴーリー絵本のイラストを見ることができる
  3. ゴーリーの絵本や関連本の読書コーナーがある

①展示物にしっかり解説があるので、ゴーリー初心者でも安心

絵本のイラストは全ページが展示されているわけではなく、数シーンがピックアップされて展示されていました。

解説には、その絵本のあらすじや該当ページの和訳が記されていて、かなり鑑賞の手助けに。

ゴーリー初心者の私はじっくり解説を読みながら、鑑賞しました 。

②日本で未出版のゴーリー絵本のイラストを見ることができる

ゴーリーによるポスターや家族に宛てた手紙の封筒に描いたイラストなどの展示が見れたのも嬉しかったのですが、日本ではまだ出版されてない絵本のイラストが見れたのは、未来の楽しみを見つけたような嬉しさでした。

それは、「いつか翻訳されて、日本で出版されたら読んでみたいなぁ」というものです。

日本版が出なかったら、海外版を何とか和訳しながら読むことになりますが…(私にできるかな?)

展覧会に一緒に行った夫ともども、絵本『オズビック鳥』が気になりました。日本版が出ることを心待ちにしています 。

③ゴーリーの絵本や関連本の読書コーナーがある

今回の展覧会に行くにあたって、事前にゴーリーの絵本を読んでおきたかったのですが、自宅近辺のいくつかの図書館はいずれもゴーリーの絵本は置いていませんでした。

展示で絵本の数シーンのイラストが見れたのは嬉しかったですが、やはり通しで読んでみたいなぁ…と思っていたところ、展覧会の最後に読書コーナーが設けられていたのです。

その場で全てを読むというわけにはいきませんでしたが、気になっていた絵本を5冊ほど読むことができました 。

 

展覧会の余韻にひたるなら・・・

展覧会の余韻にひたりたくて、『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』公式図録を購入。

グッズ販売コーナーでは、図録の他にも、絵本やゴーリーのイラストの入ったクリアファイルやペン・マスキングテープなどの文房具、バッグなどがありました。

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展では、ゴーリーの世界にどっぷりひたることができて、嬉しかったです。

では、お読みいただき、ありがとうございました。

 

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